自衛隊いじめ裁判が結審へ-提訴から4年4か月

 護衛艦「たちかぜ」艦内でのイジメを苦に自殺した自衛隊員の遺族が起こした訴訟が、いよいよ8月4日に結審を迎えます。この訴訟には、当事務所の阪田、西村、田渕を含め、神奈川県内の8名の弁護士で弁護団を組んで取り組んできました。
 訴訟は、2006年4月に起こしました。既に提訴から4年以上が経過したことになります。
 これだけ長期の訴訟になっていたのは、単に重大な事件だったからというだけではありません。国が、真相の解明に背を向けた訴訟態度に終始したために、徒に時間を浪費した面が大きいといわざるを得ません。
 その1つは、国が資料を全く開示してこなかったことによる時間の浪費です。1人の隊員が自殺し、さらに「たちかぜ」艦内での犯罪行為も多数確認されたため、事件後、自衛隊は多くの隊員から事情聴取を行うなど、刑事手続とは別に、自衛隊独自の調査も進めていました。しかし、国は、自衛隊の調査で得られた資料について、任意の開示を拒否しました。われわれ弁護団は、文書提出命令という手続をとらざるを得ず、その結果、多くの時間がかかったのです。
 もう1つは「たちかぜ」の当時の艦長に対する証人尋問が、北海道の小樽で行われたことによる時間の浪費です。裁判所が艦長の証人尋問の実施を決めた後、国は、艦長は現在、北海道の部隊の司令官になっており、職務との関係上、基地から片道2時間の範囲でしか移動が許されていないとして、艦長の尋問を北海道で行うよう求めてきました。弁護団は強く抵抗しましたが、証人尋問の実現を優先させたこともあり、結局、北海道の小樽で証人尋問を行うことになりました。そのため、艦長の証人尋問のために再度の日程調整が必要となり、ここでも多くの時間が無駄に流れました。
 これらの出来事がなければ、とっくに判決が出ているはずでした。自殺した隊員の父親は昨年3月、判決を聞くことなく病気のため亡くなりましたが、国の不誠実な対応がなければ、父親は判決に立ち会えたのではないかと思います。それだけに、国の対応には怒りを抑えることができません。
 もっと許せないのは、国は隊員が自殺した原因について、隊員が風俗やギャンブルにはまって借金を重ねて自殺したと主張し、その主張を立証するために、現役の自衛官にうそまで言わせたことです。
 事件の後、自殺した隊員の同僚や加害者である先輩隊員は、自衛隊から事情聴取を受けていますが、その中に、自殺した隊員が風俗やギャンブルに通い詰めていたとか、金遣いが荒かったといった話をした者はだれ1人としていませんでした。
 それにもかかわらず、国は、責任を免れるため、自殺した隊員が風俗やギャンブルにお金を浪費していたという、真実とは違うストーリーを作り、現役の隊員にそのストーリーを語らせたのでした。
 しかし、天網恢々疎にして漏らさず。法廷でうそのストーリーを展開した自衛官は、あろうことか、事件当時既に死亡していた関係者と電話で話をした-などというありえない事実まで口走ってしまいました。私は、これで、この自衛官がうそをついていることが明確になり、裁判所にも、国の主張に説得力がないことをハッキリ認識してもらえたと考えています。
 とはいえ、どういう判決が出るかは分かりません。先輩隊員からの終わりのないイジメと「たちかぜ」幹部の無責任でいい加減な対応のために、わずか21歳で自ら命を絶つに至った本人の無念や、大切な家族を奪われただけでなく、さらに、故人に対し風俗とギャンブルにはまって借金を重ねた末に自殺した-という汚名まで着せられた遺族の気持ちを考えれば「勝ちたい」という思いが一段と募ってきます。
 判決が出るのは秋になるでしょう。良い報告ができれば嬉しいです。(田渕大輔)
.30 2010 未分類 comment0 trackback0

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