会社が社会保険に入ってくれない!どうすればいい?(上)

1 労働事件の相談を受けていると「社会保険に入って欲しいと言っても 会社が入れてくれない」との訴えを聞くことがあります。ほかにも「入社時に会社が社会保険の加入は任意であるかのような説明をして加入させなかった」「社会保険料を給与から天引きしながら実は納付していなかったことが解雇された後判明した」「会社が経営が苦しいと言って社会保険を違法にやめようとしている(社会保険事務所に会社の違法手続きを止めるように訴えても社会保険事務所も聞いてくれない)」といわれることもあります。
 従業員を社会保険に加入させたくないという会社は、現実にたくさん存在しています。会社も社会保険料を負担しなければならないからです。
2 社会保険は、会社等法人については強制適用とされています(厚生年金保険法第6条第1項2号)。労働者を社会保険に加入さえると、会社と労働者とがそれぞれ標準報酬月額に基づいて算出される社会保険料を負担しなければなりません。
 この社会保険料を払いたくなくて従業員を社会保険に加入させないで働かせている会社が、堂々と存在しているのは、それを許してしまう今の社会保険の制度にも原因があります。私は、社会保険の制度的な欠陥が、平成19年以降大きくクローズアップされた数々の年金問題、なかでも、“給与から天引きされていたはずなのに社会保険庁のデータに反映されていない”という「消えた年金記録」問題、“厚生年金の標準報酬等の記録が遡って変更されていた”という「消された年金記録」問題を発生させた原因にもなっていると思っています。
 強制適用の建前をとりながらも、保険料を徴収できる時効期間はわずか2年(厚生年金保険法第92条第1項前段)で、税金の徴収権の時効が5年間とされていることと比較しても極めて短いものになっています。違反に対する法律上の罰則も大したことありません(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。厚生年金保険法第102条)。そして、裁判でも、社会保険料の納付について会社に違反があっても、経済的損害(年金給付額の減額金額等)を数字で具体的に立証できない限り、民法上の債務不履行や不法行為による損害賠償請求はほとんど認められません。かろうじて慰謝料が認められる可能性はわずかながら出てきていますが、文字通り雀の涙です。将来の年金額が分からない若い労働者による損害賠償請求の道は事実上閉ざされているのです。
 このように、労働者の社会保険・年金を守る体制は極めて脆弱です。
 このような体制では、社会保険料をごまかそうと考えるズルい会社はいくらでも出てくるでしょう。(つづく)
.12 2010 社会保障 comment0 trackback1

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