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「通貨オプション取引」にご注意-大手銀など、高リスク説明なく販売

 大手金融機関が販売した「通貨オプション取引」によって、莫大な損失が発生し、会社が存続の危機に立たされる・・・こんな事例が多発しています。
 オプション取引というのは、金融取引の中でデリバティブ取引と言われる取引の一種で、その仕組みは非常に難解なものです。
 オプションとは、予め定められた価格(権利行使価格)で、予め定められた商品(原商品)を買う権利または売る権利と説明されています。法的には複数の停止条件や解除条件が付された債権の売買契約と説明されますが、経済的な観点からみると保険契約に似ています。
 オプションの買い手は、相場が目論見通りに動き、かつ、権利を行使した場合には利益を得ることができます。その反対に、相場の目論見が外れた場合、オプションの買い手は、権利を購入した代金(オプション料)が損になるだけで、損失は限定されます。これを逆の立場、つまりオプションの売り手になった場合はどうでしょう。ちょうど逆のパターンになります。つまり、買い手の目論見通りに相場が動いてしまった場合、売り手は、権利行使を受けて金銭(理論上無限になりうる)を支払う責任を負います。他方、オプションの買い手の目論見が外れた場合、オプションの売り手は、オプション料を受け取って自分のものとすることができます。
 このカラクリは、保険契約を例にして考えるとわかりやすいです。オプションの買い手を保険に入った人、売り手を保険会社にたとえて考えることができるからです。
 保険に入った人は保険料(オプション料)を支払い、事故が起きた(相場が目論見のとおりに動いた)ときには保険金(金銭)の支払いを受けることができます。これに対して保険会社は、保険料(オプション料)をもらうことができるものの、事故が起きた時には保険金(金銭)を支払わなければなりません。
 当職が担当している事件では、普通の会社が、何も知らされないうちに、オプションの売り手、つまり保険会社と同じ義務を負わされていました。金融や保険の知識なんてないのに、相場の動きによっては多額の保険金を支払わなければならないという契約を結ばされていたのです。金融機関がこの商品を売り込む際には、「あなたの会社は保険会社のような立場になります」というような説明は、一切ありませんでした。保険会社と同じような支払責任があると説明されたら、普通の人は取引などしないはずです。
 実は、当職は弁護士になる前、証券会社に勤務していました。そこで、日経平均(日経225)をつかったオプション取引のディーリングを職務としていたのですが、その取引の仕組を完全に理解するまで、一日中勉強して数週間、ディーリングのシミュレーションに数週間、晴れてディーリングを開始するまで3カ月近くが経過していました。証券会社が自分の従業員に対し、これだけ慎重に教育をしているにもかかわらず、顧客に対しては、ほんの1時間程度の説明で取引を開始させていたのです。明らかに、顧客に対して不利な条件であるにもかかわらず、美味しいところだけを強調して、取引に引っ張りこんでいたのです。
 当職は、仲間の弁護士たちと一緒に、東京地方裁判所において訴訟を進めています。現段階で明らかになったのは、証券会社が顧客に対して請求した証拠金の金額や、損失の金額が、とても杜撰な計算で算出されていたことです。その証券会社自身ですら、通貨オプションという商品が難しすぎ、きちんと取り扱いできてないということを露呈しているのです。
 同様の被害は全国に広がっており、現在、大阪地方裁判所などで訴訟が起きています。
なお、このオプション取引は、大手金融機関が販売に力を入れている「仕組債」とか「仕組預金」と言われる商品にも組み込まれています。経済の原則からいえば、金利も需要と供給のバランスで決まります。そして、金利はリスクとの強い相関関係にあります。この原則を理解すれば、「自分にだけ有利で安全な商品」などというものは、この世の中に存在しないといえるでしょう。高金利(正確には高利回り)は、高いリスクに対する対価にすぎません。「高金利」をうたい文句にして高いリスクが隠された商品によって被害に遭わないよう、十分にご注意ください。(浅川壽一)
.11 2010 消費者事件 comment0 trackback0

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