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神奈川フィルの不当解雇を神奈川県労働委員会が断罪

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の2人のコントラバス奏者(布施木さん・杉本さん)が解雇されたのは2012年4月であった。神奈川フィルは神奈川県を拠点とするオーケストラである。しかし赤字を理由に人件費は切り詰められ,例えば 勤続31年の布施木さんですら解雇直前の年収は手取額で300万円台。2004年以降賃金は26.6%と大幅にカットされたまま回復されていない。
 布施木・杉本さんは楽団員であると同時に,楽団に対してもの申す労働組合(公務公共一般労組)の役員であった。このオーケストラにはもう一つ日本音楽家ユニオンという労働組合がある。音楽家ユニオンは歴史的には一定の役割を果たしてきた労働組合ではあったが,神奈川フィルにおいては少なくとも2003年に楽団の意を受けた人たちによって執行部が握られてしまい,以降ユニオンは楽団の提案する各種労働条件の切り下げに合意してきた。杉本さんはかつてユニオンの執行部の一員であったが,中心から外れてしまった。
 杉本さんは,2008年には若手奏者をいじめたと一方的な嫌疑をかけられ,再三の呼出をかけられる等のパワハラを受けた。布施木さんも楽団に同調しないということで次第に楽団から疎んじられた。楽団はいろいろ調査を行ったが,この「いじめ問題」なる言いがかりで処分を下すことなどできなかった。
 こうした経過の中,布施木さんら有志が公務公共一般労組の神奈川フィル分会を結成することとなる。すると,2009年11月沖縄で行われた演奏会において楽団側のミスで楽器が届かないというアクシデントが起きた際,布施木さんが代替の粗悪な楽器で演奏を命じられたことに抗議すると,その言葉尻をとらえられその後呼び出しに応じないとして布施木さんは処分を受けた。
 さらに2010年3月の楽団評議員会では,理事らは公務公共一般労組のことを「共産党系」の組合と決めつけ,「日本音楽家ユニオン」は「正しい組合」である,今後公務公共一般労組とは「長期戦になるので日常の仕事に差し支えないように考えないといけ」ないなどと露骨な組合攻撃の議論を始めた。この評議員会議事録は法務局に記録として残っている。
 そして2010年4月就業規則が変更され,「技能が著しく低下した時や楽団が任命した音楽的責任者からの指摘があった時」と解雇条項が改められた。それと前後して,オペラを指揮した指揮者の沼尻竜典氏が公務公共所属の団員6名の演奏技術,演奏態度に激怒した,との理由で6名が一部演奏から外された。しかしその沼尻氏が激怒した理由はその後も明確にされていない。なお6名のうちの1名が公務公共一般労組を脱退するとすぐに演奏に復帰することができたというのも実に露骨な差別だ。
 ついには,神奈川フィルの常任指揮者だった金聖響氏が2012年1月付とされる二人に対する「対応」を求める文書で,布施木さん・杉本さんのことを「音楽的技量の部分で・・職責を全うしていない」,第九の演奏会で「チームワークを乱すような様々な言動は敵意さえ感じる」と最大限の表現で攻撃するに至った。しかし金聖響氏は肝心の労働委員会の審問でこの文書について問われると,具体的な事実を挙げることはほとんどできなかった。指摘したのは,指揮者と目を合わせないとか,練習の際小声で隣席の同僚に愚痴を言ったのが聞こえた,というせいぜいこの程度のことだそうだ。
 仮に指揮者が激怒するようなことがあったとしても,そんなことでいちいち解雇されていたのでは,オーケストラ団員は首がいくつあっても足りない。しかもオーケストラの団員と指揮者は上下関係にあるわけではなく,共に協調して音楽を作り上げていくパートナーなのだ。練習の場で対立があっても,それは音楽家同士の音楽の解釈を巡るせめぎ合いともいえる。こんなことを解雇理由として楽団に文書を出して対応を迫る指揮者も指揮者である。
 解雇直後,布施木さんたちは裁判所で仮処分を行ったが,裁判所は冷酷にもこれを却下。布施木さんたちは高裁に抗告手続を行ったが認められなかった。場所を県労働委員会に移し,1年8ヶ月の審理期間を経て、ようやく2014年7月24日,労働委員会は楽団に対し「2名の解雇をなかったものとして取扱え」との命令を下した。2人の解雇は労働組合活動への不利益取扱・組合つぶしであると明確に断罪された。
 不当なことに,楽団は中央労働委員会に再審査請求を申し立てたため,この秋から中労委での手続が始まる。また平行して横浜地裁では本裁判が闘われている。是非皆様の支援のご連絡をお願いしたい。
 詳しくは「杉本さん布施木さんの解雇を撤回させ、神奈フィルを良くする会」のウェブサイト http://www.kanaphil-yoku.sakura.ne.jp/ へ。(中村宏)
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.25 2014 労働事件 comment1 trackback0
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