知っていますか朝鮮学校? 求めたい無償化の実現

 高校無償化の対象から取り残されている朝鮮学校のことをもっとよく知ろうと、弁護士のグループで4月13日、横浜駅に近い神奈川朝鮮中高級学校を訪ねました。この訪問は、その実像があまり知られていない朝鮮学校に対する理解を深めた上で、無償化問題を考えようと、自由法曹団神奈川支部が企画しました。
 神奈川朝鮮中高級学校には、現在、小学生から高校生まで200人余の在日朝鮮・韓国人の生徒が通っています。みな、自宅に近い日本の学校ではなく、朝鮮民族の教育を受けさせたいという家庭の子供たちです。
 高校授業料の無償化問題では、朝鮮学校も無償化の対象にする方向が政府内部でいったんは固まりました。しかし昨年11月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による延坪島砲撃事件を受けて、無償化に向けた手続きが中断、生徒たちは今なお無償化の恩恵を受けられないでいます。
 日本における朝鮮学校の歴史は、差別される歴史でもありました。生徒たちは、例えば1991年まで高野連など主催のスポーツ大会に参加することができず、94年まで通学定期の割引を受けることもできませんでした。学校に対して日本政府の助成金は出るようにはなったものの、支給水準は、日本の公立学校の10分の1程度、私立学校の3分の1から4分の1程度にとどまっているといわれます。
 朝鮮学校は、歴史的に朝鮮民主主義人民共和国と強い関係があります。日本政府から学校と認められず助成がない時代も、朝鮮民主主義人民共和国からの資金援助が続いていました。そうした沿革もあって、高校生の教室には、同国の金日成-金正日総書記の肖像画が掲げられていました。
 私たちは、地理や英語、日本語などを朝鮮語で学んでいる中学生から高校生までの教室を見て回り、その後、生徒たちと懇談しました。
 生徒たちは一見、どこにでもいる中高生たちでした。けれども「差別」を意識して育ってきたせいか、日本の子供よりも社会に対する関心が高いように見受けられました。生徒の多くは、同世代の日本人の子供との接点が少ないことも分かりました。生徒の一人が「無知が偏見を生んでいる、差別を作った日本の社会、排外主義と闘っていきたい」と述べていたのが印象に残りました。
 政治判断とは言え、私は、韓国学校やインターナショナルスクールが既に無償化の対象になる一方で、朝鮮学校が取り残されているという現状は不均衡であるという気がしてなりません。朝鮮学校の生徒たちの大半は、日本の社会で活躍しおそらくは日本に骨を埋めることになるでしょう。しかし韓国学校やインターナショナルスクールの生徒たちは、その多くが駐在員や領事館職員の子供であって、日本社会との接点は一時的なものに過ぎないと考えられるからです。
 日本社会の良き構成員となるべき朝鮮学校の生徒たちのため、無償化の実現を急がなければならないと感じずにいられない一日でした。(北神英典)
.06 2011 教育 comment0 trackback0
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