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映画「アンストッパブル」に見る「熟練の技」の重要性

 久しぶりに映画を見た。「アンストッパブル」。熟練機関士と新規配属の若手車掌が,協力して機関士不在のまま暴走する危険物満載の列車をとめるというストーリーである。
 空気ブレーキを接続しないままの操車,電気ブレーキにより停止可能と誤信したまま入替走行中の機関車を下りてポイントを切り替えようとした構内機関士のミスが重なり列車は暴走を始める。対向列車を運転していた主人公の熟練機関士は,後方貨車を暴走列車に衝突されながらも,辛うじて待避させたのみならず,待避時に暴走列車の後方への連結が可能であることを冷静に目視確認した。主人公は年齢を理由に早期解雇通告を受けていたが,職業意識から会社上層部の指示に反し,若手車掌を説得して,後方から暴走列車を追跡し自分の機関車を暴走する列車に連結させようとする。
 現場労働者の心意気と,それに協力する操車係,技師,鉄道局の役人,一方で事故による人命防止より会社の損害の回避を優先する会社上層部という対比は,いつもどの企業でもありそうなパターンだ。
 鉄道ファン的観点から言うと,この映画では最近はやりのCGはあまり使われていない。機関車の脱線転覆シーンや,踏切で立ち往生した自動車を暴走列車が粉砕するシーンなども実写だそうだ。そして全体が極めてリアルだ。米国の巨大な機関車の走行シーンはそれ自体素晴らしいが,それ以上に,連結部への機関車の動力の伝わり,ブレーキ操作の際の貨車の動き,転車台,マスコンの操作,そして随所に挿入される信号,鉄道標識や距離標など,見ているとゾクゾクくるほど,鉄道のシステムを描写している。
 字幕は全て㎞換算で表示されていたが,現地(アメリカ)では速度計や各標識もマイル単位なので,換算するのに最初とまどう。数字は原語で聞いた方がよりリアルだ。最大の危機場面である制限時速15マイルのカーブ手前の速度制限標識が映し出されると,私は思わず指差喚呼(確認)をしてしまった。
 映画が英雄主義的な作りになっているのはハリウッドのお約束ごととして,私は映画のモチーフの1つは労働者の熟練の力への信頼であると感じた。
 2009年には,ニューヨークのハドソン川に旅客機が不時着し,全員が救出されるという事故があった。この奇跡的ケースの運行機の機長は引退直前の57才,副操縦士は49才であった。機長らは川へ通常着陸時と同様の滑るような着水をし,川の抵抗を考慮して,進行方向を反転させて川の流れに乗せるように着水したため機体の衝撃は抑えられ,損傷は後部壁の一部だけで,乗客ら全員が迅速に機体から脱出シューターに避難することが可能となったという。機長はのちに「命が救われたのは熟練を積み,良く訓練された乗務員のお陰です」「パイロットの経験と熟練が少なければ,否定的な結果を我々は目撃することになるでしょう」と述べた。
 ひるがえって日本では,日本を代表する航空会社(JAL)が先日,熟練機長らを大量解雇した。この解雇によってJALでは55才以上の機長,48才以上の副操縦士,53才以上の客室乗務員はいなくなってしまったそうである。一体,安全はどうなってしまうのだろう?解雇された乗務員らは裁判をたたかっている。(中村宏)
.04 2011 労働事件 comment0 trackback0
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